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知っておきたい、人類史上最速のワクチン

 

 明けましておめでとうございます。長い2020年も、気づけばあっという間に走り去って行き、新しい2021年が始まりました。と、この原稿を書いている“今”と、みなさんがこの記事を読んでいらっしゃる“今”とでは、また世の中の情勢も変わっているかもしれませんね。なかなか先の読みづらい日々が続きますが、希望をもって2021年もいい一年になりますように、と心からお祈り申し上げます。
2020年12月、製薬会社Pfizer/BioNTech(ファイザー/ビオンテック)とModerna(モデルナ)が新型コロナウイルス(COVID-19)ワクチン治験の初期分析を完了し、両社とも95%近くの予防効果が確認されたと結論づけ、FDA(米国食品医薬品局)からEUA(緊急使用許可)が認められました。
長期的な安全性の問題など、まだまだこれから議論されることも多いとは思いますが、医療従事者をはじめ、重症化のリスクの高い高齢者、基礎疾患のある方などを対象に、順次ワクチン接種が行われていくことでしょう。
私は、ワクチンを推奨する立場でも否定する立場でもありません。ワクチン接種の有無に関しては、個人のおかれている環境や健康状態、価値観によっても違います。みなさんがご自分の意志で納得してワクチン接種するかどうかを判断されるのが大切だと考えています。今回は、今の時点で知っておきたい、新型コロナウイルスワクチンについての勉強です。
※この記事は2020年12月20日現在の情報をもとに書いています。常に情報は変わります。最新の情報をご確認ください。

 

人類史上最速のワクチン

 今回FDAが承認した新型コロナウイルスワクチンは、約1年で開発、承認されるに至った、人類史上最速のワクチンと言われています。普通のワクチンの開発・承認には、通常約10年の年月を有すると言われています。これまで最速でつくられた、おたふくかぜ(Mumps)のワクチンでも、4年を要したといわれています。

なぜこんなに早い??

 早すぎる!ということで、不安になる方も多いのも当然です。たしかに、長期的な効果や安全性の面では今後も注意してみていく必要があります。ただ、開発・承認がこの1年の間で行われたのには下記の理由が考えられます。
①これまでの基礎研究の成果
 SARSやコロナウイルス、インフルエンザウイルス、がんなど、あらゆるウイルスの研究、遺伝子解析などの基礎研究が長年行われており、新型コロナウイルスに対しての研究もスピード感をもって行われた。
②早い段階での情報共有や共同研究の開始
前代未聞の世界規模のパンデミックを引き起こしたため、早い段階での新型コロナウイルスに対する情報共有が行われ、共同研究なども行われた。
③多額の資金投入
パンデミックの収束は、新たな市場も生み出すため、製薬会社をはじめ多額の資金投入が行われた。
④臨床試験のスピード
基礎研究と同時に臨床試験(人を使った試験)が認められました。感染者数も多いため、大規模での臨床試験でのデータがとれた。


現在認可されているワクチンは?

 2020年12月20日現在、米国内で使用が認められている新型コロナウイルスワクチンは、ファイザー/ビオンテック、モデルナ 二社のワクチンです。どちらのワクチンも「mRNAワクチン」(メッセンジャーアールエヌエー)という、世界で初めてのタイプのワクチンです。
 mRNAは生体内で、DNA遺伝子から情報をコピーし、特定のたんぱく質を作らせるという重要な働きをします。新型コロナウイルスワクチンにおいては、人工的につくったmRNAを体内に投与することで、細胞内で新型コロナの特徴である突起状のタンパク質を生成させます。このタンパク質を人の免疫細胞が敵とみなして、抗体を作って免疫を獲得するという画期的なしくみです。

高い感染予防効果

 FDAの報告資料では、ファイザーのワクチンで95%、モデルナで94.1%の感染予防効果があったとされています。通常、ワクチンの承認においては、およそ50%以上の予防効果が必要とされていますので、この数字は驚きの高さです。ちなみに、インフルエンザワクチンの感染予防効果率は、50%といわれています。。

投与後の反応

 ワクチン投与後の痛み、発熱、全身倦怠感なども報告されていますが、日常生活に支障をきたすほどの症状は約4%でした。また、1回目より2回目の投与後の方がそういった反応は起こりやすく、比較的年齢の若い人にそういう症状は起こりやすかったとも報告されています。投与前後の心構えを十分に説明し、投与後の様子の変化を報告できる体制など、今後も医療整備と同時に、医療側と患者側のコミュニケーションがより大切になってくると思います。。

保存・運搬の問題点

 RNAは壊れやすく、効果を保つためには、常温を避け零下での保存が必要とされています。ファイザーのワクチンは零下70度に対して、モデルナは、零下20度での保存が可能と発表され、今後世界規模でワクチンを供給する際の大きなポイントになるかもしれません。現在、承認されているファイザーとモデルナの二つのワクチンを今現在の情報を図表で比較してみました。参照:図

 

Pfizer/BioNTech

Moderna

考察

ファイザー

モデルナ

ワクチンの種類

mRNAワクチン

mRNAワクチン

同じ

感染予防効果

95%

94%

かなり高い予防率

投与対象者

16歳以上

18歳以上

現在12~17歳の試験検証中

保管状況

マイナス70℃前後

マイナス20℃

零下での保存が必要

冷蔵で5日間

冷蔵で30日間保管可能

モデルナ製の方が保存が容易

 

常温12時間可能

今後の報告にも注意

1回の投与量

30マイクログラム

100マイクログラム

投与量がちがう

投与間隔

21日

28日

どちらも2回接種

投与回数/1バイアル

5

10

1バイアルに入っている量がちがう


ワクチン投与検討の必要な方

過去にワクチンの原材料によって深刻なアレルギーを起こした人は、ワクチン投与ができない(禁忌)とされています。そのほかの薬や、ワクチン、食べ物などで深刻なアレルギー反応を起こしたことがある方は、医師との相談の上、投与を選択できるようになりました。(12月19日現在)
ファイザーの4万4千人以上、モデルナの3万人が参加した試験は、妊婦や子供は含まれていません。妊婦や授乳婦は、ワクチン投与ができないわけではなく、リスクとベネフィットを主治医と相談の上、ワクチン接種を選択できることが決まりました。子供に関しては、12~15歳(ファイザー)、12~17歳(モデルナ)の臨床試験が継続中です。一度新型コロナウイルスに感染した方の接種の有無や、ワクチンの効果発現期間については、今後の専門家の知見や研究結果が待たれます。

有害事象と副反応(副作用)

 有害事象(Adverse events)とは、ワクチン接種との因果関係が不明で起こった事象をさし、副反応(副作用:Side effects)は、ワクチンとの因果関係のある事象を意味します。多くの有害事象の中の一部が副反応(副作用)です。報道などでは、ワクチンと因果関係が明確ではない有害事象も副作用として報道される可能性もありますので、注意が必要です。欧米ではすでに、医療関係者をはじめワクチン投与が順次始まっています。その中で、エピペンなどが必要となるような強いアレルギー反応(アナフィラキシー症状)などの報告も、少数ですが速やかに報告され、注意喚起されている点は、とても評価できることと思います。少数ですが、重篤な副反応(副作用)を拾っていくこと、長期的な副反応をモニタリングすることが、ワクチンに限らず薬の世界では大切なことです。

ファイザーの新型コロナワクチンの原材料

 ワクチン反対派の方の中には、保存料などの含有を不安視される方も多いかもしれません。有効成分のmRNA以外の原材料としては、脂質ナノ粒子、塩化ナトリウム、リン酸2水素ナトリウム、塩化ナトリウム、塩基性リン酸ナトリウ二水和物、ショ糖などが含まれており、保存料は入っていないと記載されています。(詳しくは、参考資料)

自分で納得のいく選択を

 医療従事者などは場合によっては強制的かもしれませんが、ワクチンを接種するかどうかは、その人個人の自由意志と責任によるもので、他から強制されるものではありません。ただし、ワクチンは個人の命を守るのはもちろん、社会全体の命や生活を守る公衆衛生の概念が大きく関与します。新型コロナの場合、高齢者や基礎疾患を持つなどハイリスクの人の致死率は10%を超えるという報告もありますので、リスクとベネフィットを十分理解、認識した上で、選ぶ必要があります。 忘れてはいけないのは、ワクチンができたからと言って、新型コロナが終息するわけではありません。一人一人が改めて正しく認識し行動することが大切です。ワクチンによる副反応が怖くてワクチン接種しない方も、ワクチン接種せずに新型コロナにかかる可能性がある場合も、ワクチン接種して起こるか分からない副反応を恐れながら生活する場合も、「どの選択も自分で納得して自分を守るためのもの」であってほしいと思います。そして、この世の病気は新型コロナだけではありません。  健康は一日にしてならず。今これさえしておけばいいというということは、残念ながらありません。毎日の十分な睡眠、バランスのとれた食事、適度な運動、ストレス発散、という、ごく当たり前の日々の積み重ねが大切になっていきます。このコロナ禍では、そういった当たり前の日々を過ごす大切さ、感謝の気持ちがより強くなっているのではないでしょうか。

参考文献
ファイザー・ビオンテック社 FDA 報告書
https://www.fda.gov/media/144245/download
モデルナ社 FDA 報告書 

https://www.fda.gov/media/144434/download

 


尾中景子

福岡県出身。2002年、熊本大学薬学部卒業。九州大学病院に約7年間勤務。主に医療チームの一員として入院患者への服薬指導、学会への論文発表、学生の指導などを主な仕事とする。2009年、結婚を機にアリゾナに移住。2016年、自分の好きなことを始めよう、と元々興味のあったアロマセラピーの世界へ。ハワイ・カイルアの米国NAHA協会認定校 Ohana Healing Instituteにて、オンラインや現地での勉強を重ね、クリニカルアロマセラピスト・ハワイアンヒーリングハーブの資格を取得。現在、日本語で米認定アロマセラピーの資格が取れるスクールKokopelli Healing Arizona主宰。他に、にほんごであそぼ&つくろin Arizona~日本をつなぐ~主宰。
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