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AYA世代のがん

 みなさん、お元気ですか?気持ちの良いアリゾナですね~!ワクチンも供給が追い付いてきて、16歳以上の接種が始まりました。私も先日ファイザーの一回目を接種してきました。改めて、「体調を整えて接種すること」をおすすめします。という私は、残念ながらいろんなことが重なり、睡眠不足の状態でワクチン接種日を迎えてしまいました。ワクチンの副反応なのか、ただの疲れからなのか、判断のつかない頭痛がありました。ただ、どちらが原因だったにしろ、普通に仕事もこなし、ゆっくり睡眠をとったらよくなりましたので、特に深くは考えていません。注射針の痛みもなかったです。ワクチン接種を決められた方は、体調を整え、前日はぐっすり寝て、リラックスして会場に行かれてくださいね。

AYA week 2021

 福岡を拠点に活動する「NPO法人がんのママをささえ隊ネットワークETERNAL BRIDGE」のスタッフとして、今年から活動を始めました。代表の医師である金城舞先生は、中高の同級生でもあり、私の乳がん検診の主治医でもあります。発足当初から活動理念に共感し、応援していたのですが、コロナ禍でオンライン化が進む中、アリゾナからでもできるお手伝いがあるのではないか、と今後の私のライフワークの一つとして参加させていただきました。日本では、3/14-21の1週間、“AYA week 2021”と称して「若い世代とがん」の今を伝える啓蒙ウィークが開催されました。私たちETERNAL BRIDGEは、「がんと向き合うママと家族の『共に生きる』笑顔の絆WEB写真展」を開催しました。動画編集に携わったのですが、お一人お一人の笑顔とストーリーにいろんな想いや祈り、希望が込められていていました。AYA 世代のがんでは、妊娠を機にがんと診断された方も多く、いかに若年性のがんを早期発見するか、育児をしながら、仕事をしながら、どのようにしたらもっと『共に生きる』ことがラクになるのか、とても考えさせられました。
 ちょうどアメリカでは、4/5~11に“AYA Awareness Week”の啓蒙活動が開催されます。今回は、様々なライフステージの変化を体験する“AYA世代のがん”をみなさんに知っていただきたく、このテーマを取り上げました。

AYA世代とは?

 AYA・AYA世代という言葉を初めて聞かれた方も多いかと思います。AYA世代とは15歳-39歳までの世代を意味し「Adolescent and Young Adult(思春期・若年成人)」を略したものです。AYA世代は、就学、部活、友達、恋愛、アルバイト、一人暮らし、就職、結婚、妊娠、子育て、、、多くの方が親から自立すると共に、人生の中でも多くの変化を年単位で体験する世代です。自分の価値観が大きく変わり、出会いと別れを繰り返し、人生の選択肢が広がる時期でもあります。そんな時期にがんと診断された場合、心身に大きく影響を及ぼすことは容易に想像がつきます。

二人に一人はがんになる時代

 二人に一人はがんになる時代。ある日突然、がんと診断され、それまでの日常が大きく変わってしまうことも他人事ではありません。そして、がんと向き合い、治療をしながらも「共に生きる」、日常は続いていきます。がんと共に生きることに世代は関係ありませんが、大人に比べて、AYA世代のがんサポートは、残念ながらまだ整っていない、遅れている現状があります。

AYA世代のがん

 15-39歳と、AYA世代の対象は広く、年代によって状況が異なることから、15~19歳をA世代、20歳代以降をYA世代として分けることがあります。日本でのAYA世代のがん患者数は、毎年約2万人、がん発症全体の約2%程度です。また、アメリカでのAYA世代のがん患者数は、約9万人、全体の約5%といわれています。AYA世代の中での内訳としては、20歳以上のがんが約90%を占めるといわれています。

AYA世代に多いがん

 AYA世代のがんは、発症率は低いものの、小児型のがんと大人型のがんが混在するため、がんの種類も多種多様です。検診なども積極的に行われない、がんの進行が早いなどの理由から、がん治療後の5年生存率の割合が、他の年代に比べて低いことも特徴です。また、年代によって、発症しやすいがんが異なるのも特徴です。15-19歳では、小児に発症しやすい白血病、リンパ腫、脳腫瘍、骨軟部腫瘍などの希少がんが多い一方で、これらの希少がんは20代では徐々に減少します。30代では特に女性では乳がんや子宮頸がんが増え、全体としては、大腸がんなどの消化器がんも増えてきます。  AYA世代全体でみると、日本では、子宮頸がん、乳がん、甲状腺がん、大腸がんなどが多いとされています。アメリカでも、同様の傾向が見られますが、アメリカでAYA世代の最も多いがんは女性では乳がん、甲状腺がん、男性では精巣がんと言われています。

AYA世代のがんの課題

  日本では、2018年の第3期がん対策推進基本計画に「AYA世代のがん」の総合的な支援の方向性が示されました。しかし、AYA世代の特徴でもある希少性と多様性、そして多領域に治療がまたがるため、この世代のがん対策を進めることを難しくしているのが現実です。これは日本だけでなく世界中のAYA世代共通の課題として、議論されています。

1. 治療成績

 がんの種類にもよりますが、AYA世代のがんの治療成績は、他の年齢層よりも低いといわれています。その背景には、患者数が少ない、治験の数が少ない、治療方法が遅れている、がんの進行が早い、年齢が若いためがんと気づくまで時間がかかる、学業や仕事を優先して検診や治療を後回しにしてしまう、などがあげられます。

2. 経済的ストレス

 15-39歳というと、就学や就活などをまたぐ世代です。十分な収入を得られる仕事に就くことができない、もしくは継続することができない、がん保険の未加入など、高額な治療費の支払いという経済的ストレスがついてくると言われています。また、日本では18歳未満には小児慢性特定疾患、40歳以降では介護保険といった公費負担制度もありますが、AYA世代の患者さんはこういった公費負担を受けられないという現実もあります。

3. 精神的ストレス

 ライフステージの変化を共にする世代なので、だれが介護するかという家族、パートナーとの問題も抱えています。そして、治療の影響により、人生設計の変更を余儀なくされることも多く、病気はもちろん、将来への不安なども大きく影響します。希少がんということもあり、情報収集する場が少なかったり、相談したり想いを共有できる相手が少なく、孤独感を感じ、引きこもってしまう状況なども多く見受けられるようです。診断後、治療中、治療後、長期にわたって、学業や仕事、子育て、介護など、多方面からのフォローが必要とされています。

4. 妊孕性(にんようせい)

 がん治療を行うことで、妊孕性(妊娠する可能性)が奪われる可能性があります。がん治療前に精子、卵子、受精卵、卵巣組織保存などが可能です。将来を見据えた情報提供や専門施設との連携なども必要とされています。


今後の課題

 様々なライフステージを体験するAYA世代に必要なニーズを拾い上げ、診断、治療はもちろん、「治療と学業」、「治療と仕事」、「治療と子育て」、さまざまな両立支援、治療後の社会復帰など長期的かつ多方面からの支援が必要とされます。そのためには、医療の向上だけでなく、社会全体にAYA世代のがんについて広く知ってもらい、社会全体の問題として、医療のみにとどまらない多方面の連携や取り組みが求められています。病気に限らず、人は、「一人じゃない」と知るだけで救われることがあります。悲しい時に支え合い、嬉しい時に喜び合える。そんな笑顔の繋がりが、明日を生きる勇気と希望になることを願っています。

 

参照:https://ayaweek.jp/
   https://www.cancer.gov/
   https://www.ncc.go.jp/


 

尾中景子

福岡県出身。2002年、熊本大学薬学部卒業。九州大学病院に約7年間勤務。主に医療チームの一員として入院患者への服薬指導、学会への論文発表、学生の指導などを主な仕事とする。2009年、結婚を機にアリゾナに移住。2016年、自分の好きなことを始めよう、と元々興味のあったアロマセラピーの世界へ。ハワイ・カイルアの米国NAHA協会認定校 Ohana Healing Instituteにて、オンラインや現地での勉強を重ね、クリニカルアロマセラピスト・ハワイアンヒーリングハーブの資格を取得。現在、日本語で米認定アロマセラピーの資格が取れるスクールKokopelli Healing Arizona主宰。他に、にほんごであそぼ&つくろin Arizona~日本をつなぐ~主宰。
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